呼ばれた気がして振り向けば 小さな子のめちゃくちゃな笛の音に パラパラめくれる文庫本と 御守りがわりの腕時計が 止まったまま2度引っ越して 書きかけの葉書を投函したら 「おはよう」明け方の電話で 沈黙が切り開いた空へ プラカードを握りしめ横たわれば 一粒の蒸発する汗 にわか雨に濡れる肩に 早口で名前を呼べば ため息でぼやける遠くの窓の向こう ベンチが見当たらない街で ふやけた紙袋の底が抜けて 明滅するスマートフォンと 水たまりに思い出し笑いが広がって 松葉杖で星座がつながれば 自転に抱きかかえられて
一粒の海(Audio/Text)
一粒の海(Audio/Text)
一粒の海(Audio/Text)
呼ばれた気がして振り向けば 小さな子のめちゃくちゃな笛の音に パラパラめくれる文庫本と 御守りがわりの腕時計が 止まったまま2度引っ越して 書きかけの葉書を投函したら 「おはよう」明け方の電話で 沈黙が切り開いた空へ プラカードを握りしめ横たわれば 一粒の蒸発する汗 にわか雨に濡れる肩に 早口で名前を呼べば ため息でぼやける遠くの窓の向こう ベンチが見当たらない街で ふやけた紙袋の底が抜けて 明滅するスマートフォンと 水たまりに思い出し笑いが広がって 松葉杖で星座がつながれば 自転に抱きかかえられて