すぐほどける君の靴ひも結ぶ背中に不時着したさくらは あと10分あるね 次のバス停まで歩くぼくらは かけ違えたボタンのせい? 帆のようにふくらむストライプのシャツは 斜めの夕空がずり落ちて 突風に散らばる仲間たちは すぐに溶けていく いつかの明け方の電話のくぐもった声は 追い越していくバス…
チャイナタウンのスーパーマーケットの地下 半分埋まったミラーボールが鎮座する ここはトリプルハピネス 閉店時間が開店時間 $10 for Admission, free snacks スーパーマーケットのダブルハピネスの地下 あやふやなビニールカーテンが乱反射する ここはトリプルハピネス…
土間の米や灯油に安心したら すっかり降参して 白い世界に閉じ込められる インクは斜めに並ぶ背中のほくろ 明朝のまぶしさに瞬きしても ポストもしばらくは埋もれたまま 手探りの指先が言葉を散らばし あぶり出された傷が背中を焦がす どこかで 音もなく落ちる屋根雪 テーブルの端に積もる紙片たちも…
カタカナの方が読みやすいよね? 家族のような3人が絵馬に書く 遠くに暮らす友人の名前と 1つの願い事 煤けたミカンが転がり はらはらと崩れ去って 窮屈なスワンボートはジグザグ泳ぎ 空を縫い合わせる Hola, no te preocupes! こんなに近くで祈ってる かみ砕いたフルーツ飴の甘酸っぱさが…
後部座席の子が驚いたように宙を見上げ つられて仰ぐからっぽの空に、点滅する雪 かさついた指先の こわばった首筋の 明日に閉じたままのまぶたの 誰にも気づかれない、小さな蒸発 慌てて手袋を外しても間に合わなくて 代わりに送る、寝癖とくもったメガネのあけましておめでとう 真っ青な空を背負う君の凍えた頬に…

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森栄喜による詩を週に1度お届けします。EMWP sends you a poem by Eiki Mori every week.

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