願いに無愛想
いつも手ぶらで現れる君は言う
ぼやけてるぐらいがちょうどいいです
胸ポケットを少し膨らませている眼鏡は
完全に気が抜けていて挨拶もない
いつも持ち歩いている僕の折り畳み傘は
突然の土砂降りにたたき起こされて
不機嫌にふたりの肩をはみ出させる
いつも手ぶらで去る君は言う
明日は晴れたらいいですね
改札前の笹飾りが空調に揺れている
去年もこの時期に会ってたね
いつも奇跡には一日早く
手ぶらでふたりは再会する
それが唯一の方法だと言わんばかりに
次の、またその次の七夕へ
持ち越される短冊は真っ白なまま
いつも胸ポケットを少し膨らませている