4月のマーチ
冷たすぎるペットボトル
窓辺に置いてベッドに飛び込む
外の歓声が入射して
天井はぼんやりとした光の水たまり
眼鏡も靴も靴下も放り投げれば
柔らかすぎる枕は火照った頬を
思う存分沈めさせてくれる
遠のいていく重低音
川石を飛び渡る骨ばった濡れた背中に
必死にしがみつく
自転車の後ろ席から白いブラウスの背中に
まだ小さかった手で
だらけたトートバッグごと
ベッドからずり落ちそうな季節外れの向日葵
白虹の中で水平に見つめ合えば
種になる前の種がつややかに整列し始める
昼寝の続きをあきらめて
まだ少し冷たい水をひと口飲んでから
挿した向日葵はぐるりとそっぽを向き
遠く湧き上がる歓声に耳を傾ける
行ってくるね
背中を軽くつっつけば
しがみついていた幾千の気泡がいっせいに弾けて
小さな部屋をまぶしく波立たせる