色装蜂起
夜が深く最後の息を吐き、朝が寝返りを打つ灰色の時間
見慣れたこの肌も髪もきっと瞳もまだ色がない
手のひらはまだ運命も刻まれていないのっぺらぼう
手当たり次第でしか進めない神経衰弱って楽しいね
丸くなった新聞を咥え込み独りごちる、向かいの家の郵便受け
遠慮がちに床に寝そべった靴下たちと耳をそばだてる
ベランダの窓を開けても続く薄い灰色の朝は11月
鉢植えの金木犀の香りが、今日最初の色彩になる
まだ出会っていない友達のまつげに溶ける
スクロールした遠い街の初雪、マフラーどこしまったっけ
温まった手が無防備に誰かの手をまた握れるように
熱いミルクに大盛りのミロで甘い狼煙を上げる、シンク横
帰り道のことなんか気にせず飛び出していきたいね
ささくれだった中指でひっくり返す、ふてぶてしい青空